SDV(ソフトウエア・デファインド・ビークル)とは何か(2)
SDVで大きく変わるクルマの価値提供
(前回から続く)SDVという言葉を直訳すれば「ソフトウエアで定義されるクルマ」ということになる。この「ソフトウエア・デファインド」という表現はもともとIT分野で使われていたものだ。例えば、スマートフォンは代表的なSDD(ソフトウエア・デファインド・デバイス)である。スマートフォンは、使用するアプリに応じて、カメラにもなれば携帯音楽プレーヤーや動画プレーヤー、計算機、メールやSNSを受発信する端末にもなる。文字通り、その機能がソフトウエアで定義されるデバイスといえる。
●スマホは代表的なソフトウエア・デファインド・デバイスといえる
しかし、スマートフォンにおけるより重要な側面は、「価値提供の手段」が、従来の携帯電話に対して大きく変わったことだ。従来の携帯電話の主な提供価値は通話やメールのやりとりであり、それにせいぜい写真を添付するくらいだった。これに対して、例えば現在のスマートフォンで生成AIを利用したチャットを使う場面を考える。
当然のことながらこの機能はスマホというハードウエアだけで実現されているわけではない。ブラウザーのようなソフトやOS、ネットワーク、それにサーバの巨大な計算能力を活用することでようやく、人との滑らかな対話が実現している。このように様々なレイヤー(層)を複合的に活用することで、ハードウエアだけでは到底提供できない価値を提供することを「複層的な価値形成」と呼ぶ。従来の携帯電話に対するスマホの最も本質的な違いは、この複層的な価値形成にある(続く)。
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