SDV(ソフトウエア・デファインド・ビークル)とは何か(3)
様々な分野で進む複層的な価値形成
(前回から続く)複層的な価値形成は現在、様々な分野で起こっている。代表的な例は音楽ビジネスである。従来の音楽ビジネスは「CD」や「DVD」といったパッケージを販売することがビジネスの主流だった。ところが現在では、主流は音楽配信サービスに移っている。CDやDVDといった「ハードウエア」に依存するビジネスでは、ユーザーは音楽を聴くためにわざわざ販売店まで出向かなければならない。ところが音楽や映像の配信サービスでは、ユーザーはいつでも、どこでも、簡単に最新の音楽や映像を楽しむことができる。
この音楽の配信サービスも、スマホというハードウエアに、OS、音楽再生アプリ、ネットワーク、サーバ、音楽配信サービスといった複層的な価値形成によって実現している。アマゾン・ドット・コムのサイトで家電製品を購入する、ネットフリックスで動画を楽しむ…といったネットサービスはみな、家電量販店やDVDレンタル店よりも、便利で簡単で、しかも割安に製品やサービを購入できる。これが、ハードウエアだけで製品やサービスを提供しようとする従来のビジネスとの大きな差である。
●巨大IT企業はどこも、様々な層(レイヤー)を提供する「複層的な価値形成」を手掛けるのが特徴だ。こうした動きはクルマの世界にも波及しつつある(資料:オートインサイト)
そして、これと同じことがこれからクルマでも起きる。というよりも、既に中国ではそうしたことが当たり前になりつつある。これまでのクルマは、走る、曲がる、止まるという言葉に代表されるように、ハードウエアで実現する価値が中心だった。これに対してSDVはハードウエアだけでなく、ソフトウエア、OS、ネットワーク、サーバ、データベースによって複層的な価値を提供するようになる(次回に続く)。
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